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アートとファイナンス(主催:インベスト・ライフ)

こんにちは、ヤマシタです。

8月29日にインベスト・ライフ主催の「アートとファイナンス」というパネルディスカッションを拝聴させて頂いた。非常に興味深いお話だったので、以下にご紹介しておこうと思います。

モデレーター
伊藤宏一氏:フィナンシャル・プランナー
お金は交換価値。人々は衣食住の購入から感動を購入へ。

パネリスト
岡本和久氏:ウェルス・アドバイザー
フィランソロピーはリターンがマネーでなくてもよい。良いことをしたという満足度もそのひとつ。アートの付加価値、自分が楽しめる。

日本の経済環境の変化、構造変化がもたらす良い面もある。20007年ベビーブーマーが定年を始めスローライフが増えてくる。文化度合いが高まってくるのではないだろうか。

これまで間接金融が主だったが直接金融への変化。また、今までは国、都がやってくれていたがこれからは違う。フィランソロピーに対しても今後は自分で直接選んで寄付(投資)する時代に。

柴崎敏男氏:三井物産シニア・フィナンソロピー・スペシャリスト
商社マンとしての専門は鉄鋼だった。9年前から広報。フィランソロピーは5年。アサヒビールや資生堂とかと比べると三井物産のやっていることは小さい。財団も持っていない。

芸術は今の世の中を変えていけるものと思う。人間の根底の中にあるもの。FORD財団が巡回展覧会をやっているが、それを訪れた人たち、子供達が将来の従業員、顧客になり得る。その人達に影響を与えたい。

相手の国の文化を知ることは安全保障に繋がる。日本やアメリカは相手(アラブ・中国・韓国)の文化を知る必要があるだろう。

冠スポンサーは、やりたくない。学生招待はやる。子供にいい音楽を早いうちに聞かせたい。本物を聞かせないといけない。下手なものを見せると嫌いになる。

会社からフィランソロピーの予算を取るのは難しい。費用対効果を問われる。集客力はどうだったか?企業宣伝?しかし、10000人来てくれても感じてくれた人が3人では本来的には意味がない。10000人に宣伝したつもりが、嫌いになるかもしれない。

加藤種男氏:アサヒビール芸術文化財団事務局長
会社(アサヒビール)のメセナ、財団としての助成金のマネジメントや美術館の運営。横浜市美術メセナなど多忙。15年この仕事をしている。

アサヒのフィランソロピーのニューズレターはバイリンガルになっている。国内に留まらず国際的な活動にしたい。また、アーティストに社員がインタビューを行うコーナーを持っている。これは、だれにでも分かる活動をしたいという意図がある。敷居を低くするということ。

アートフェスティバル:今年4回目。ジャンル横断的なフェスティバル。基本的にアート関係のNPOが中心になって行うようにしている。地域における非文化的なものを文化資源化することを目的。都市の活性化に結び付けたい。例えば、別府は温泉町。温泉施設はそのままではタダの箱だが、それを文化資源に変化させることが出来ないかを考える。

投資には興味が有る。誰かが将来リターンがあることを期待してお金を出すもの。リターンは必ずしもお金ではない。それが、芸術・文化への投資というもの。非営利の投資だ。将来花開いた時に大勢の人が恩恵を被ることが可能である。芸術は消費しても消えない財。だから、投資したいのである。投資効率を上げたいと考えるので、評価の定まっていないものに投資する必要があると考えている。従って、都民交響楽団の方々には申し訳ないが交響楽団はあまり投資したくない対象のひとつだ。芸術への投資に対する結果というのは林業くらい時間がかかる場合もある。ただ、早いものならば5年くらいで花開くものもある。花が開く確率はイチロウの打率よりはチョット良いくらいだろうか。こういった活動については社内では3分の1くらいは賛成。3分の1は反対。どちらでも良いが3分の1。

芸術への助成などは国が国民の税金からバラ撒くのではなく、民から民へ寄付をするという考え方には賛成。それには寄付がしやすい税制が必要。明治維新以降は教育にまで国が関与したことから曲がってしまった。国家を経由してお金が回る仕組みはどうもマズイ。文化庁の予算はさすがに減少はしていないというものの・・・。ドイツでも連邦予算、州の予算は減少している。それでもドイツは3%の芸術に対する予算がある。日本ではコンマ幾つの世界だ。

500億円の文化基金が日本にはあるが、90年の始めバブル時代に出来たもの。政府との間に距離を置いた、アーツ・カウンシルが公平性を確保するために必要。芸術への助成は国には出来ないけど自治体版は出来るかもしれない。自治体の方が国より予算を持っている。

アート団体に直接助成金を出すのは難しいし、伸びないと過去の経験からは思う。システムを作っている団体(NPOやフェスティバル、文化施設)に金を出して、そこに決めさせる。ましてや、国や公共団体では決められない。箱物作るだけでも意味がない。ソフトが重要。この手の公的な助成金は完結してから資金出る。つなぎ融資する金融機関も少ない。最近はつなぎ融資を行う銀行も少しずつ出てきた。

スポーツはルール必要だが、芸術はルールが無く創造されるという点が大きな違いである。また、芸術はアマチュアでは創造性が小さいと感じる。

石井純邦氏:都民交響楽団前運営委員長。都民交響楽団には47年参加。
東京文化会館~世界水準のホール。アマチュア育成のために都民交響楽団が出来る。都民には無料で講演。2300席に対しおよそ8000の応募がある。

都の方針転換により99年に全面リニューアル。アマチュアの育成は中止し、自主運営へ。50年の歴史があるが、運営は初めて。交響楽は1回の演奏に250万~300万円の費用がかかる。現在は年3回の定期演奏会のうち2回については無料を継続。今週100回目の定期演奏会。1000人の交響曲と言われる「マーラー交響曲第8番」をやる。今回は企業メセナ協議会の協賛が取れた。今後も協賛が取れると活動広がるだろう。

定期演奏会、伊豆7島は東京都なので演奏会をやる。

浅野ありさ氏:都民交響楽団メセナ渉外担当。コントラバス奏者。
都民交響楽団はオーディションが有る。プロの交響楽団は一旦、組織に入ってしまうと、いつまででも続けることが出来るが、都民交響楽団では4年に1度、再オーディションがあり、落ちると退団となる厳しい決まりがある。ある意味プロより厳しいかもしれない。質にはこだわっている。

今回の定期演奏会(100回記念演奏会)は「マーラー交響曲第8番」をやる。実際500人程度が同じ舞台に乗る。本来、ソリストに演奏料を払うと1200万くらいかかるのだが、賛同頂ける演奏家に寄付のような形で演奏してもらっている。今回は40社から支援を頂いた。ただ、企業サイドからは予算制約、経済環境から芸術への支援は厳しいとの声を多く聞いた。

参加者からのお話
澤上さん:
官が変わるのを待っていても仕方ない。民と官が競争出来たら良いなぁ。

渋沢さん:
資産運用は同じ情報とツールを持っても同じ結果は出ない。それはアートだから。アートから投資が学ぶこともあるだろう。

社会活動を測定出来るか?社会的リターンとはどういうものだろう?リターンというものは共通言語だと考える。また、経済的リターンと社会的リターンは必ずしも分けられないし、分ける必要もないと思う。

経済同友会では「企業と文化を考える委員会」を15年ぶりに立ち上げた。

速水さん:
SRIを行ううえで、よく考えているのは、企業を選ぶのではなく変えてゆくということ。

オーナーシップとは仕事に対する責任を負うということ。投資をするということは、自分の会社として考えるということだと思う。


「アートとファイナンス」について投資家の視点から私が感じたこと

①エンジェル:国から民のプロフェッショナルへ
「投資効率を上げたいと考えるので、評価の定まっていないものに投資する必要があると考えている」(加藤氏)

なるほど!柴崎さんのおっしゃるように、なかなか芸術支援などに予算が取れないご時世。投資効率を上げなければならないというのは非常に重要な視点だと思いました。フィランソロピーは未上場株への投資?ベンチャー?財団はエンジェル投資家なんですね。機関投資家とも異なるもの。だから、投資先の選定はプロフェッショナルがやる必要があるのでしょう。

国がエンジェル投資家になるというのは非常に難しいですよね。定型の調査票に記入して杓子定規に篩いにかける、それでは無理というもの。これは民のプロに任せる。

国民ひとりひとりが、プロジェクト13%が提唱する、“自身で考えて投資する”ということに目覚めれば、国が国民から一旦税金として徴収して、再配分(ばら撒く)するという様な、“まどろっこしい”ことを回避し、芸術への投資も自分で考えて直接、投資できるようになるのではないでしょうか。国は税制などの整備を進める必要がありますが、その分スリム化できると思います。

②良いものを見せる:投資も同じ
「子供には良い音楽を早いうちに聞かせたい。それは本物でないといけない。下手なものを見せると嫌いになる」(柴崎氏)

本当にそう思います。金融についても、子供のうちからちゃんとしたものを見せるというのは重要と思います。伊藤さんがおっしゃるように東証のやっているようなゲームは、よろしくないかもしれません。将来の投資家が株嫌いになっては困りますから。

また、もう一つ、金融という視点からこの話を考えてみると、投資も最初に触れるものが肝心ということです。最初に粗悪なファンドや運用というものに触れてしまうと、投資が嫌いになってしまいますよね。

証券会社や銀行は真にそのお客様が必要としている商品かどうかに拘わらず、自社、自己の目標達成のため、ブームとなっているものや手数料の高いものを販売したりします。

これが、個人投資家が投資を嫌がる一つの要因だと思います。ちゃんとした運用者(澤上さんのような)やアドバイザーが望まれる時期に来ていると思いますし、そのような運用者、アドバイザーにコストを払う必要があることも個人投資家は認識するべき時代になったのではないかと思います。

③株価至上主義:vs SRI
株価至上主義のピークは2000年3月と思いますが、企業経営者は株価を上げるために判断を行うようになって行きました。今も、それは経営者の目標の一つです。

CSRもそれをやらないと速水さんが買ってくれないからやる(笑)。動機は不純ですね。でも、変化は感じます。米国株式市場が崩壊して株価至上主義一辺倒から変化は確実に起こってきていると思います。

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丁度一ヶ月前に参加させていただいたセミナーですが、貴重なお話をお聞かせ頂くことができ、大変感謝しております。また、大変勉強になりました。今回、パネリストの方々の活動の内容等広く知っていただくことは良いことと考え、このブログにセミナー内容や参加者のお名前も記載させていただきましたが、もし、削除して欲しいとか内容を修正して欲しいというご要望がございましたら、コメント欄にご記載ください。対応させて頂きます。(ヤマシタ)
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by project13percent | 2005-10-02 14:45